魔轟三鉄傑のあゆみ②【解き明かされる真贋の章】
“謎の女”について襲われた人の話を聞くため、三人は山を下り、ふもとの村へと向かった。
村の子供
わーい、ダムザさんだ!
ダムザさんだ!
ダムザさんだ!
村人
おお、ダムザさん!
ご無事でよかった!
ご無事でよかった!
今一度、例の女に襲われた者らに話が聞きたくてな。
すまぬが、案内を頼めるか。
すまぬが、案内を頼めるか。
村人
お安い御用でさ!
いつもお世話になってんだ、恩返しの機会は逃しませんぜ!
いつもお世話になってんだ、恩返しの機会は逃しませんぜ!
ダムザさんは、村の人気者なんですね~。
……あの見た目でねえ……。
ていうか、ガトリン。
あんたなんでさらっとイメチェンしてんの。
ていうか、ガトリン。
あんたなんでさらっとイメチェンしてんの。
いっつも魔力をフルパワーで具現化させてたら、疲れちゃいますから。
休めるときは休む派です!
休めるときは休む派です!
おうい、おぬしら。
例の女に襲われた武人が、まだこの村に滞在しておる。
話を聞きに行くぞ。
例の女に襲われた武人が、まだこの村に滞在しておる。
話を聞きに行くぞ。
はーい。
はーい。
さて、おぬしを襲ったという女だが--
武人
ひぃいいーっ!そいつだ!
その女だあああ!
その女だあああ!
…………えっ。あたし?
……え!? はあっ!?
……え!? はあっ!?
いやいやいや、この人とは仕合してないんだけど!
ガトリンの強制治療ではなかったというのか……。
ほーら、濡れ衣ぅ~。
むう。すまぬ。
しかし、そうなるとな……。
ここは、同じ女に襲われた村人にも話を聞くか。
しかし、そうなるとな……。
ここは、同じ女に襲われた村人にも話を聞くか。
村人
そ、そ、その女だ!
まちがいねえ!
ひいー! やめてくれー!
許してくれー! ひいいいー!
まちがいねえ!
ひいー! やめてくれー!
許してくれー! ひいいいー!
…………。
は~、すごい怯えっぷりですね~。
とりあえず、お薬だしておきましょっか。
ぞばぞば。
とりあえず、お薬だしておきましょっか。
ぞばぞば。
あたし、やってないってばぁ……。
わかっておる、リエン。
おぬしは、わしに対して仕合の申し入れから入った。
それはまちがいない。
おぬしは、わしに対して仕合の申し入れから入った。
それはまちがいない。
リエンと良く似た何者かが、武人や村人を襲っている……と考えるのが、ここは妥当か。
許せない!
誰だか知らないけど、風評被害よ!
ふんづかまえて抗議してやる、ていうか破ぅーる!
誰だか知らないけど、風評被害よ!
ふんづかまえて抗議してやる、ていうか破ぅーる!
当初の予定どおり、わしがオトリとなって、その女をおびき出そう。
ガトリンも、それでよいか?
ガトリンも、それでよいか?
ぞば!
武人や村人たちが襲われたという、村と村を結ぶ道……
ダムザは、ひとりでそこを歩き始めた。
リエンとガトリンは、道の脇に隠れている。
ねえ、ガトリン……あたしって、そんなに怖い?
ぜーんぜん怖くないですよっ?
ありがとう……でも、あんたに聞いてもしょうがないよね……はぁ……。
さて……これで引っかかってくれると良いが……。
???
い、命ばかりはお助けをぉー!
南無三……!
オトリの役目を果たせなんだか!
リエン、ガトリン、助けに向かうぞ!
オトリの役目を果たせなんだか!
リエン、ガトリン、助けに向かうぞ!
患者あるところナースあり!
ざっくりぞばっと解決するぞば!
ざっくりぞばっと解決するぞば!
行くわよ!
あたしの輝かしい評判を守り抜く、そのために!!
あたしの輝かしい評判を守り抜く、そのために!!
偽リエン
ふふ……もっと泣きなさい。
そしてこの<煉獄華>の名を、世に轟かせるのよ……。
そしてこの<煉獄華>の名を、世に轟かせるのよ……。
村人
あ、あうあうあう……。
だ、誰よあれ!?
似ているどころではない……まさに瓜ふたつぞ!
おぬし、生き別れの双子の姉妹でもおったか?
おぬし、生き別れの双子の姉妹でもおったか?
年がら年中ひとりっ子よ!!
まずいですね……これは見分けがつかなくなって、どっちも殴ってどうにかするパターンですよ!!
ンな危険なパターン想定してんじゃないっての!
こら、そこのあんた!
いい加減やめなさいっ!
いい加減やめなさいっ!
偽リエン
げっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!
こぉ~れはこれは!
本物さんのおでましねぇ~!
こぉ~れはこれは!
本物さんのおでましねぇ~!
ずっと待ってたのよぉ…あんたを倒して本物になる日をねぇ!
げっひゃっひゃっひゃっひゃ!
……………………。
むう……どちらが本物のリエンさんなのか、まるで見分けがつかないですね!!
偽リエン
クク……そうだろう?
潰すッ!!!
はぁあぁああぁああああーっ!!
リエンは偽者の攻撃を紙一重でかわしながら前進、双の得物を至近距離から叩き込んだ。
瞬時の重心移動と全身のひねりを合わせ、助走をつけて放つよりなお強烈な威力を一撃に乗せる!
偽リエン
がはぁああぁああッ……!
すさまじい衝撃をまともに喰らい、偽リエンは、力なく大地に倒れ伏してゆく……。
“瞬蓮華”……我が流派の、基礎にして奥義よ。
然るべき師についた者なら、いなし方を知っていて当然なんだけど……しょせん、まがいものね。
ふむ。
接触の砌、魔力を“衝撃”と具現せしめたか。
修練と実践を経ずして使う能わざる妙技よ。
接触の砌、魔力を“衝撃”と具現せしめたか。
修練と実践を経ずして使う能わざる妙技よ。
ふふ……まあね。
だからこいつには使えなかったわけ。
加減はしておいたから、活でもいれて……。
だからこいつには使えなかったわけ。
加減はしておいたから、活でもいれて……。
リエンが偽物を抱き起こそうとすると……偽物の身体は、輝く魔力に変わり、雲散霧消してしまった。
えっ……!?
魔力の具現化だったの!?
魔力の具現化だったの!?
具現化の後、独立行動する魔力……幻獣の類か?
いや、待てよ。まさかこれは、“象恨呪”--?
いや、待てよ。まさかこれは、“象恨呪”--?
え?
今の、何かの術だったっていうの?
今の、何かの術だったっていうの?
うむ。
恨みや恐怖といった負の念を集め、それを元に魔力を具現せしめる呪法の一種よ。
恨みや恐怖といった負の念を集め、それを元に魔力を具現せしめる呪法の一種よ。
おそらく、おぬしに破れた武術家らの恨みや恐怖を触媒に、あの偽物を生み出していたのだろう。
じゃあ……だからあんな性格してたわけ?
何よ何よ!
あたしが勝ったのはあたしの方が強かったからじゃん、勝手に恨むとかやめてよもー!
<煉獄華>の名はわしも聞いておった。
不憫だが、強すぎる者の宿命と思うしかないかもしれんな。
不憫だが、強すぎる者の宿命と思うしかないかもしれんな。
しかし、この秘呪を使える者が世にあろうとは。
ううむ……もしやとは思うが、あやつが……?
すねるリエンと考え込むダムザをよそに、ガトリンは倒れた村人に薬をぶっかけている。
ヨイホムラの塊根を煎じたものです。
身体を温め、血行を良くするとともに気つけ効果もありますよ。
身体を温め、血行を良くするとともに気つけ効果もありますよ。
へえ……ガトリン、あんたちゃんとした薬も処方できるのね。
いや、待て……わしも医術薬学には通じておるが、そんな薬草の話は聞いたことがないぞ。
でしょうね!
“でしょうね”て。
わたくしの薬は“そんなのあったらいいな”って気持ちを魔力で具現化したヤツですんで。
あは☆
あは☆
……妄想から薬効を造り出すというのか……。
なんというか、でたらめな精神力をしておるな……。
なんというか、でたらめな精神力をしておるな……。
どぉーう考えても、あたしよりこの子の方が怖いでしょ!?
ね!?ねえっ!!?
ね!?ねえっ!!?
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